そこで今回は、格安SIMを提供しているビッグローブ株式会社を取材し、ユーザーからの問い合わせで特に多い事例を伺ってきました。日々寄せられる膨大な数の問い合わせを聞いていると、スマホを使い慣れている人には想像しにくい悩みや相談ごともあるようです。

パケット消費が思ったより早い

ビッグローブの吉野宗壱さん(左)と佐々木優太さん(右) 今回は、ビッグローブで格安SIMに関する様々なサービスを企画している吉野宗壱さんと佐々木優太さんにお話を伺ってきました。 ビッグローブでは、電話で問い合わせができるコールセンターの他に、公式サイトを開くと表示されるチャットからも、多くの質問や相談が舞い込んで来るとのこと。最近では、スマホデビューが格安SIMという人も多く、子どもにスマホを持たせたという親や、初めてガラケーからスマホに変えたシニア層が、自ら電話で質問するケースが多いそうです。 そんな人たちから寄せられる声で多いのが、「パケットの消費が思ったよりも早い」というもの。これは、日々のネットサーフィンや動画視聴で消費することもありますが、吉野さんによると、相談して来る人はバックグラウンドで働くアップデートに気づいていないことが多いそうです。 スマホでは、アプリのアップデートやOSの更新で、特に多くのパケットを消費します。スマホを手に入れて起動させたところ、自動でOSの更新やクラウド同期が始まり、まったく気づかないまま、契約したパケット量を使い切ってしまったという人も。電話では、「スマホを買ったばかりなのに、インターネットに繋がりにくい」という相談があるそうです。 アプリの更新やOSのアップデートは、Wi-Fiに接続している時しかできないように設定を変更できるので、購入したら忘れずにチェックしておくと安心です。 iPhoneで自動アップデートをオン/オフする方法 Androidスマホで自動アップデートを止める設定方法 もちろん動画を見すぎるなどして、パケットを使い切ってしまうケースもあります。なかには「乗り換える前は速度制限がかかることはなかった。BIGLOBEは消費するパケット量を水増ししているんじゃないか」と問い合わせる人もいるそうですが、「それはありません」(吉野さん)ときっぱり回答いただきました。 モバイルデータ通信を使った更新設定をストップする手順や、パケットを節約するテクニックについては、以下の記事でも紹介しているので参考にしてください。 iPhoneのモバイルデータ通信量を節約する11の方法 スマホの「通信速度制限」とは──いつまで続くのか、解除や確認の方法、回避するための対策など また、BIGLOBEでは、「エンタメフリー」というYouTubeやApple Musicなど、動画や音楽などを利用する際にパケットの消費量をカウント外にする「カウントフリー」というオプションも用意しています。普段から動画視聴や音楽鑑賞でパケットを使い切ってしまう人は、加入を検討しても良いでしょう。 YouTubeなど動画・音楽が通信量ノーカウント、BIGLOBE SIMから月額480円の新オプション

インターネットに接続できない

今の格安SIMは、SIMカードを挿せば簡単に接続できるため、初期設定自体ができない・設定方法がわからないといった問い合わせは、ほぼないとのこと。 そのなかで、「インターネットに接続できない」原因は、SIMカードの選び間違いによるもの。大手キャリアから格安SIMに乗り換えた人からの問い合わせが、特に多いそうです。 SIMカードには、NTTドコモ回線を利用するタイプDと、au回線を利用するタイプAの2種類があります。例えばauショップで購入したスマホだと、タイプDのSIMカードが使えないケースもあります。 購入前には、自分の持っているスマホがどちらのSIMカードに対応しているかよく確認しましょう。なお、ビッグローブでは、以下の通り、対応する端末の一覧を紹介しています。また、テザリングの可否も端末ごとにチェックできます。 動作確認端末(BIGLOBEモバイル)

動作確認済みの端末は、ビッグローブのHPからも確認できます これらは、新しい機種が登場するたびに佐々木さんたちが購入して、接続できることを確認しています。ちなみに、新型iPhoneの発売日には、佐々木さんもビッグローブの社員として、Apple Storeの行列に並んで手に入れるそうです。 テザリングの設定方法自体がわからないという方は、以下を参考にしてみてください。 iPhoneでテザリングする設定方法と料金、できない時の対処法など Androidスマホでテザリングする方法と料金まとめ

通信速度が遅い

「インターネットに接続できない」と同じく、格安SIMに乗り換えた人から多く寄せられる問い合わせが「通信速度の遅さ」です。佐々木さんによると、「キャリアでは10Mbps出ていたのに、BIGLOBE SIMに変えたら1Mbpsしか出ない」と具体的な数値を出して聞いて来る人もいるそうですが、これには理由があります。 ビッグローブのように格安SIMを提供するMVNOでは、ドコモやauが保有している回線を借りて、複数人のユーザーに提供しています。その回線で同時に利用する人数が多くなるほど、通信速度は下がります。サラリーマンが一斉に接続する昼休みや動画などを見てリラックスする夜の時間帯は、回線が遅くなりがちだということです。 通信品質の仕組みについては、以下の記事にも詳しく書いてあります。格安SIMを利用する前には、メリットとデメリットがあることを把握した上で、契約しましょう。 格安SIMカード 超入門ガイド:「格安SIMとは何か」からメリット・デメリット、種類と選び方、使える端末、注意点まで

自分に最適なパケット量を教えてほしい

初めてスマホを利用する人に多い問い合わせです。使用するパケット量がわからないので、どのプランを契約すればよいか教えてほしいというもの。BIGLOBE SIMは、パケット量が1GB、3GB、6GBと細かく区切られています。 おすすめのプランは利用方法により異なるので、一概に紹介するのは難しいそうですが、1日2〜3時間程度ネットサーフィンやメールをするのであれば、6GBあれば十分でしょう。ただし、動画をよく観るのであれば、エンタメフリーオプションには加入したほうがよさそうです。 以下のページでは、自分の利用方法にあったプランを選べるので目安にすると良いでしょう。 オススメの格安SIMプランを診断(BIGLOBEモバイル)

設問に回答していくことで、自分に最適なプランを選ぶことができます プランは気軽に変更することが可能です。ひと月使って、パケット量が余ったり、速度制限に引っかかったりしてしまったら、プランを変更するといいでしょう。

番外編

通話の切り忘れで電話料金が跳ね上がる

「身に覚えのない電話料金が発生している」という問い合わせもあるそうです。電話を切る際に「通話終了」ボタンを押すのではなくホームボタンを押すと、画面は切り替わって通話は終わったように見えます。しかし、バックグラウンドでは通話が続いていて、多額の電話料金が請求されてしまったというケースです。 相手と話している場合は、一方が通話を終了すれば接続は切れますが、留守番電話の場合は、こちらが切らないと終了しないこともあります。初めてスマホを持つ方は、特に注意して欲しいとのことです。

ホームボタンを押しても通話は切れません。切る際は、通話終了ボタンを忘れずに押しましょう

本人確認資料をアップして大丈夫か

格安SIMを契約する場合は、本人確認資料のコピーを郵送する必要がありますが、ときどき、顔写真や住所などを塗りつぶして送ってくる人がいるそうです。 本人確認には、住所、氏名、生年月日の最低3点が必要で、隠れていて確認できないと、書類の再提出を求められてしまいます。 「個人情報がどのように使われるか不安という思いから、隠されているのだと思いますが、契約処理以外には一切使わないので、安心して送ってください」と吉野さんは話します。 確認ができなくて書類のやりとりが何度か発生すると、契約までの時間が余計にかかるだけなので、隠さずに送りましょう。

おわりに

今回紹介した事例は、スマホを使い慣れている人にとっては初歩的なことかもしれません。しかし、ユーザーから多くの問い合わせがあるのは事実で、これからスマホを持つ人は同じようなミスをする人もいるでしょう。 格安SIMやキャリアの問題ではなく、スマホを使っていると起こり得る事例もあったので、両親や周囲の人で、これからスマホデビューをする人がいたら、念のため注意してあげると良いでしょう。 基本的な使用方法や接続方法などは以下のページにもまとまっているので、参考にしてみてください。 よくある質問(BIGLOBE) 構成・文:藤原達矢 編集:アプリオ編集部 取材協力:ビッグローブ株式会社